空き家管理の費用の考え方|月額プランの中身と「相場」を一律に示せない理由
公開: 2026年9月1日 最終更新: 2026年9月24日
空き家管理サービスを調べ始めると、月額2,000円台のものから2万円近いものまで並んでいて、どれが妥当なのか分からなくなります。ここでは、金額の差がどこから生まれているのかと、プランの見方を整理します。
- 空き家管理の料金には、一律の相場は示せません。会社ごとに含まれる作業が違い、公的な標準料金もないためです。
- 月額に含まれているのは「訪問1回ぶんの決まった作業」です。訪問頻度・室内に入るかどうか・作業の範囲が違えば、金額が違うのは当然のことです。
- 比べるときは月額だけを並べず、初期費用・オプションの単価・報告の形・解約の条件まで一緒に見ます。
なぜ「空き家管理の相場」を一律に示せないのか
空き家管理には、宅地建物取引業のような法定の登録制度や、国が定めた標準の料金表がありません。サービスを提供しているのも、警備会社、不動産会社、郵便のネットワーク、便利屋のフランチャイズ、NPO法人と幅広く、それぞれ本業の延長でメニューを組み立てています。同じ「空き家管理」という言葉でも、中身が同じとは限らないのです。
さらに、料金は物件の条件でも動きます。建物の延床面積、庭の広さ、最寄りの営業所からの距離、積雪の有無、敷地への接道状況。庭木の剪定や草刈りのように作業量が読みにくいものは、そもそも月額に含めず別途見積りとしている会社が多くあります。
そのため、「空き家管理はだいたい月◯円」という数字を当サイトでは掲げていません。代わりに、各社が公式サイトで公開している料金を事実として集め、含まれる業務と並べて見られるようにしています。金額を比べる前に、まず「その金額で何をしてもらえるのか」を揃えるのが先です。サービスの中身そのものについては、空き家管理サービスとは何をしてくれるのかで対応業務の8区分に分けて説明しています。
公開されている月額プランの例(2026年9月時点)
実際にどれくらいの幅があるのかを知るために、公式サイトで料金を公開している事業者の例をいくつか挙げます。いずれも2026年9月17日に各社の公式ページで確認したものです。料金は改定されることがあるため、申し込みの前には必ず公式サイトと見積書で確認してください。ここに挙げるのは金額の幅を実感してもらうための例であり、特定のサービスをおすすめするものではありません。
- NPO法人 空家・空地管理センター「戸建あんしん管理」 月額2,750円(税込)。月1回の巡回で、通気・通水は上位の「プラス」プランに含まれます。
- にしけい「空き家見守り」 月額3,300円(1項目)〜6,600円(4項目、いずれも税込)。依頼する項目の数で段階的に決まる料金です。
- AKIYA LINK ライトプラン月額3,800円、スタンダードプラン6,800円、プレミアムプラン11,800円(いずれも税別)。プレミアムのみ月2回訪問です。
- 日本郵便「郵便局の空き家みまもり」 基本サービス月額4,280円(税込)。毎月1回、住宅の外観を確認して写真付きで報告します。
- 日本空き家サポート(株式会社L&F) ライト月額5,500円、スタンダード11,000円、スタンダードプラス14,300円(月2回、いずれも税込)。
- お助けマスター「空き家管理」 屋内プラン・屋外プランが各月額5,500円〜、屋内外の基本プランが11,000円〜(月1回〜、税込)。
- ALSOK「HOME ALSOK るすたくサービス」 基本サービス月額7,700円、るすたくセキュリティパック11,000円、同+換気サービス18,700円(いずれも税込)。
- リロの留守宅管理 戸建向け巡回サービス月額5,500円、戸建向け空き家管理13,200円、マンション向け11,000円(月1回、いずれも税込)。
- セコム「ホームセキュリティNEO 空き家対策プラン」 機械警備の本体契約(レンタル月額8,470円/買い取り月額5,390円)に、訪問による管理・維持サービス(10,450円/回〜)を組み合わせる構成です(いずれも税込)。
同じ「月1回の訪問」でも、2,750円のプランと13,200円のプランが並んでいることが分かります。これは片方が割高ということではなく、室内に入るかどうか、換気や通水をするか、清掃まで行うか、報告書をどこまで作り込むかの違いが金額に出ている、と考えるのが実態に近いはずです。なお、料金を公開せず問い合わせで見積りを出す会社も珍しくありません。公開していないこと自体は不誠実さの表れではなく、物件差が大きい業務だからという事情もあります。
月額の中身を分解する(訪問頻度・室内・業務範囲)
月額を比べるときに最初に見るのは、次の3つです。
訪問頻度 多くのサービスは月1回を基本にしています。月2回のプランを用意している会社もあり、その場合は月額もおおむね上がります。雨漏りや不法投棄のように「早く気づくほど被害が小さい」種類のトラブルに備えるなら頻度が効きますが、常に月2回が必要とも限りません。冬場だけ頻度を上げたい、といった相談ができるかを聞いてみるとよいでしょう。
室内に入るかどうか これが金額の差として一番大きく出る部分です。外観だけを見て回るプランと、建物内に入って窓を開け、蛇口から水を出すプランとでは、作業時間も、鍵を預かる責任も違います。屋外プランと屋内プランを別々の値段で出している会社があるのは、そのためです。人が住まない家は換気と通水が止まることで傷みが進むので、「安いプランにしたら室内に入らないプランだった」という取り違えは避けたいところです。
含まれる業務の範囲 外観点検、通気・通水、郵便物の確認、庭木・除草、清掃、雪下ろし、修繕手配、売却・活用相談。このうちどこまでが月額に入っているかは会社ごとに違います。たとえば郵便物の取り扱いを基本に含める会社もあれば、月額オプションにしている会社もあります。プラン名だけでは分からないので、料金表と一緒にサービス内容の一覧を見て、自分の家で必要な作業に丸を付けてから金額を比べる順番が確実です。
月額の外側にかかるお金(初期費用・オプション・臨時対応)
月額だけを並べて比べると見落とすのが、契約時と契約後に別途かかるお金です。
初期費用 「初期工事費0円」を明記している会社(ALSOKのるすたくサービス)もあれば、契約時の事務手数料5,500円(税込)を設定している会社(AKIYA LINK)、機械警備の設置を伴うため工事料69,960円と保証金20,000円がかかる構成の会社(セコムのレンタルの場合。買い取りなら買取システム料金523,600円)もあります。月額が近くても、初期費用の有無で1年分の総額は変わります。
オプションの単価 基本プランに含まれない作業の値段も、先に確かめておきます。公開されている例では、日本郵便の空き家みまもりで通風・通水が月額5,000円、郵便受箱の投函物送付が月額800円、巡回看板の設置が1個1,680円。NPO法人 空家・空地管理センターでは郵便物転送が月額1,100円、報告書の郵送が月額550円です(いずれも税込)。基本料金が安くても、必要なオプションを足していくと上位プランと変わらない、ということは起こり得ます。逆に、必要のないオプションが最初から入っている上位プランを選ぶ理由もありません。
臨時の対応 台風のあとに見てほしい、近隣から連絡があった、といった定期巡回以外の依頼です。日本郵便では臨時見回りが1回3,000円、NPO法人 空家・空地管理センターでは緊急時点検が1回5,500円、ALSOKでは警備員の駆けつけ出動が1回3,300円(いずれも税込)と公開されています。一方で、緊急時の巡回点検を追加料金なしで付ける会社もあります。年に何回使うか分からない項目ですが、「頼んだらいくらか」を知らないまま契約すると、いざというときに連絡をためらうことになります。
実費や別途見積りになるもの 草刈り、庭木の剪定、片付け、雪下ろし、修繕は、作業量が読めないため別途見積りとしている会社が多い項目です。庭が広い家や、雪の多い地域の家では、ここが年間の費用の大半を占めることもあります。月額の比較とは切り離して、年に1〜2回の出費として別に見積もっておくと現実的な数字になります。
報告の形式と解約条件まで見て決める
遠方に住んでいる所有者にとって、報告書は「現地を見た」ことの代わりになるものです。写真付きの報告がメールで届くのか、郵送なのか(郵送は月額オプションという会社もあります)、Web上で過去の分も見返せるのか。確認する箇所の数があらかじめ決められているサービスもあります。同じ月額なら、報告が具体的なほうが払う意味があります。契約前に報告書の見本を見せてもらえるかを聞いてみてください。
もう一つ、見落とされがちなのが契約期間と解約の条件です。空き家の管理は、売る・貸す・解体するといった方針が決まるまでのつなぎとして使う場面が多く、契約が何年も続くとは限りません。最低契約期間があるか、途中解約に違約金がかかるか、解約の申し出は何か月前までか、プランの変更はいつからできるか。これらは料金表に書かれていないことが多いので、契約書または重要事項の説明で確認します。1年契約で月額が割り引かれる代わりに中途解約金がある、という組み合わせもあります。
費用を考えるときは、年額に直してみるのが分かりやすい方法です。「月額×12+初期費用+年1回の草刈りなどの実費」で1年分を出し、これを固定資産税や火災保険料と並べて、その家を持ち続ける年間コストとして眺めます。そのうえで、自分で通う場合の交通費と時間、通わなかった場合に傷みが進むリスクと見比べると、判断がしやすくなります。相続の直後で方針が固まっていない段階での考え方は、実家を相続したら最初にやることにまとめています。実家のある市区町村で、必要な業務に対応しているサービスがあるかどうかは、対応エリアと業務で比較するページから絞り込めます。
料金や契約の条件は事業者ごとに異なり、変更されることもあります。この記事の金額は各社公式サイトの記載を例として引用したものです。実際の契約内容や、空き家の税金・相続に関わる個別の事情については、各事業者の説明と、お住まいの地域の専門家や物件のある市区町村の空き家相談窓口にご確認ください。
参考情報
本文で引用した料金は、以下の各社公式サイトに掲載されていたもので、2026年9月17日に確認しました。
- 綜合警備保障株式会社(ALSOK)「HOME ALSOK るすたくサービス」 https://www.alsok.co.jp/person/rusutaku/
- セコム株式会社「セコム・ホームセキュリティNEO 空き家対策プラン」 https://www.secom.co.jp/homesecurity/plan/akiya-taisaku/
- NPO法人 空家・空地管理センター「空き家あんしん管理」 https://www.akiya-akichi.or.jp/kanri/
- 株式会社L&F「日本空き家サポート」 https://xn--w8jvl3b6d9gz83xm5o0mc223e.jp/portal/
- 日本郵便株式会社「郵便局の空き家みまもり」 https://www.life-support.post.japanpost.jp/akiya/
- 株式会社Ace-Group「お助けマスター 空き家管理」 https://otasuke-master.co.jp/service/house/
- 株式会社リロケーション・ジャパン「リロの留守宅管理」 https://www.tenrusu.jp/akiyakanri/
- Fuso Estate inc.「AKIYA LINK」 https://akiya-link.jp/
- 株式会社にしけい「空き家見守り」 http://www.nishikeinet.co.jp/homesecurity/service/housecare/